イケナイ狼君の××。
「仁先輩に何があったのかはわからないですけど、きっとひかり先輩は気に入られてるんじゃないでしょうか?」
「仁に気に入られても嬉しくない…」
しかも絶対いいように使われるだけな気がする!
仁は悪魔だし!鬼だし!
「仁先輩がタメ口でいいって言ったんすか?」
「うん、そうだよ?
最初は敬語だったけど、途中からタメ口でいいって言われて」
「うーん…」
「謎は深まるばかりですね…」
ははは…ほんとそうだよ。
「そろそろ行きますか!」
「ひかり先輩、お身体の調子は大丈夫ですか?」
「全然大丈夫!
幸村の紅茶とケーキで元気戻った!」
「幸村だけずりー!
ひかり先輩俺は俺は!?」
「聖としゃべっててすごく楽しかったから疲れ吹き飛んだよ!」
「おっしゃー!」
キラキラした笑顔を見せてくれる2人。
そんなに喜んでもらえるともっと褒めてあげたくなっちゃう!
私はたまらなくなって2人の頭を撫でた。
「ひかり先輩くすぐったいですっ!」
「髪崩れますって!」
「あはは!」
久しぶりにこんなに楽しく笑って自分をさらけ出した気がした。
――
「ここは映画を鑑賞したりする部屋です!」
「すごすぎる…!」
案内が始まって30分。
幸村と聖いわく、半分も案内しきれてないらしい。
「こっちはアトリエっす!」
「なんでもあるんだねほんと…」
「ないものを探す方が難しいかもしれませんねー!」
無駄に広すぎる!
それなのに人1人すれ違わない。
どこもガランとしていて、人気すらなかった。
「ねぇねぇ、生徒会って何人いるの?
仁は10人って言ってた気がしたけど…」
「相変わらず仁先輩はてきとーっすねw
人数は全部合わせて30人近くいますよ!」
30人もいるの!?
じゃあ1人くらいすれ違ってもおかしくないのに!
「でも、ここを使えるのは僕と聖とひかり先輩合わせて6人ですね」
「えぇ!?
あとの24人は!?」
「あとはみんな学校の方っすよー」
なるほど…って納得できない!
理解できないー!!
「なんで学校とこっちで別れてるの?」
「仁先輩も仰ったとおもいますが、こちらにいる方はみんな特別なので」
「特別…かぁ」
ごめんなさい、特別の意味もわからないです私。
「分かりやすく言うと、生徒会の中でテストで満点とった人じゃないとこっちに来れないってわけっすよ!」
「あ!そういうことね!
…って、満点!?」
さらに頭が混乱する私。
て、テストで満点取るって…絶対無理無理!
私の通う高校は言わばお金持ち学校に近い学校。
だけど一般の人でも入れるから倍率が高い。
私は中学校3年間勉強ばっかりしていたせいで、この高校にすんなり合格できた。
でも満点なんて考えられない!
この高校では、国語・数学・社会・科学・英語・ダンス・マナーの7教科のテストがある。
ダンスとマナーは、一応お金持ち学校だからという最低限の規則らしい。
私はこの高校が一番家から近かったから受けただけで、こんな教科があるとは知らず…
5教科の満点すら無理なのに、7教科なんてさらに確率が低くなるじゃない!
「もしかして…幸村と聖は首席で…?」
「もちろんです!700点とりました!」
「当たり前じゃないっすか!
全部簡単すぎるんすよー」
ば、化物だ…
もう仁以外の人もみんな化物だ…!!
「まだ入学して2日目なのに、結構仁とかと仲いいんだね?」
「僕達は仁先輩には中学の頃からお世話になってたので!」
あー!
そういうことか!
「一番最初に仁先輩見た時は怖くて怖くて!」
「幸村がビビリすぎなんだっての!」
「ふふふ!」
2人の過去が聞けて満足!
それにこの生徒会の仕組みも少し把握したし!
「あ!余談すみません!」
「いいのいいの!
楽しかったし、私も勉強になったし!」
「ひかり先輩マジ天使っすね!」
「そんなことないってば!」
冗談を3人で言い合いながら、またこの広いお城を散策し始めた。