イケナイ狼君の××。

仁side


ひかりの様子を見ようと思って庭園を覗いた時のひかりの顔が忘れられない。
あんなに楽しそうに笑っているところなんて知らなかった。
それをオレ以外のヤツに向けてることにも腹が立った。
今に至っては、あの昴之心を笑わせているし、初めて見るひかりは全部オレ以外にしている。
そんなことを考えていたら、鹿男が生徒会長室に入ってきた。


「ショック?仁」

「あ?なんの話だよ」

「とぼけちゃってー」


コイツは意外とカンがいい。
だから隠し事はあまりできないからムカつく。


「ひかりちゃんってあんなに地味な格好してるのに言う時は言うみたいだね」

「あぁ、そーだな。
だから連れて来たんだろ」

「今までの秘書さんは仁目当てばっかだったからね~」


鹿男の言う通り、今までに秘書は何回も変わってきた。
オレと鹿男と昴之心は2年から今の立ち位置だったから、補佐を募集していた。
鹿男はクソみてーにいっぱい女引き連れてるが、オレと昴之心は一匹狼状態。
昴之心は元からそういう性格のヤツだったが、オレは常に秘書を募集していた。
あの頃からひかりを最初から秘書にするつもりだったけど、秘書にもなれる条件があった。


「いやー、仁はすごいよねほんと!」

「学校を変える生徒会長だからなオレ様は」

「かっくいー!」


秘書になるためには、学年でトップ30までに入った人しかなれない。
男女は関係ないが、一学年にだいたい500人くらいいるこの学校でトップ30に入るのは相当難しい。
案の定ひかりの順位を調べると、128位。
意外と成績はいい方だったけど、秘書になる条件は満たせていなかった。
そこをなんとか理事長にオレは一年間頭を下げ続けて、やっと許可をもらったってワケだ。


「でもさ、仁。
あの時のことも確かにあるかもしれないけど、ほんとの理由ってなんなの?
なんであの子にこだわるのさ」

「ハハハ!
それ教えちまったら、お前ぜってーひかりに惚れるから教えねーよ!」

「えー!?なにそれ!
オレはあんな地味な子好きになんてならないよ!」

「言ってろ言ってろ」


まぁ…あの時のことをもっと詳しく鹿男に言ったら、ぜってーひかりを好きになる。
そんなことさせっかよ。


「なに?
仁はあんな地味な子のどこをいったい好きなわけ?」

「好きって勝手に言うなアホ!」

「俺はもっと華やかで清楚な子がいいけどなー」


イスでぐるぐる回りながら言う鹿男。

まったくコイツは…女は顔かよ!


「お前、そんなだから彼女できねーんだろーが」

「モテるからいいの俺は!
仁こそできてないじゃん!」

「オレはいんだよ。
寄ってくる女なんていらねーの」


オレには…アイツしか考えられねーから。


「ほらやっぱり!
やっぱひかりちゃんがいいんだ!」

「うるせー!」







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