イケナイ狼君の××。
「まぁ…そう呼ぶ変わりに条件がある」
「なに?」
「お前の素顔見せろ」
え…?素顔?
「素顔とは…?」
「伊達メガネだろそれ」
「なんで分かったの!?」
「当然だろ」
仁もカンがいいけど、のしんもカンがいいのか…!
でもメガネはずすなんて中学校の頃から家以外ではしてなかったから恥ずかしい…!
「ほら、早く」
「わ、わかった…!」
恐る恐る伊達メガネをはずす。
そして全部はずした時、のしんはすごく目を見開いていた。
「ど、どうかした…?」
「…もういい」
のしんはそっぽを向いてそう言った。
「き、機嫌悪くした…?
ブサイクでごめんね…」
「そ、そうじゃねぇって!
いいから早くメガネかけろ」
「わかった…」
のしんに言われた通りメガネをし直した。
「…よし」
「?」
のしんは自分を落ち着かせるようにして、タバコを咥えて火を着けようとした。
「だ、だからダメだって!
未成年でしょ!」
「うるせぇなぁ。
お前は俺のお袋かよ」
これからいろいろと付き合いが大変そうな人だ…
そんなことを思っていたら、ガチャっとドアが開く音がした。
「おい昴之心、どうし…」
「コウ?…えぇ!?ひかりちゃん!?」
のしんの部屋に入って来たのは、人とバンビ先輩だった。
仁は驚いた様子で固まっていて、バンビ先輩はニヤニヤ笑っていた。
「へー!
ひかりちゃんって意外とお盛んなんだね?」
「え…?」
ふとのしんに目を戻すと、私が押し倒したようになっていた。
私は右手でタバコを持っている手を握っていて、私の左腕をのしんが掴んでいた。
「ご、ごめんのしん!」
私はパッとのしんから離れた。
変なとこ見られちゃったよぉ…!
で、でも別にやましいことはしてないし!
「いつの間にかすごく仲良くなってるねー2人とも!
いいこといいこと!」
「ごっ、誤解しないでくださいバンビ先輩!」
ニコニコ笑っているバンビ先輩の傍らで、仁はのしんをすごい形相で睨んでいた。
「…なぁ仁」
「なんだよ」
2人の間に火花が見えた気がした。
「ひかりってお前の秘書になるんだよな?」
「…それがどーかしたのかよ」
さっきから思ってたけど…
なんで仁はあんなに不機嫌なの!?
「俺にも鹿男にも付き人付けていいって言ったよな?」
「おう」
「俺ひかりがいい」
「へ!?」
いきなりのしんが妙なことを言い出した。
び、びっくりした!
私一応仁のしもべ(違うけど!)だし…!
それを約束してこの生徒会に来れたわけだし…
いくらなんでもそれは無理なんじゃ。
「お前…何言ってっかわかってんのか?」
「あぁ、わかってるよもちろん」
さっきより火花が散る2人。
あわわわわ!
どうしよう…!
私がアタフタしていると、バンビさんが手を1回叩いた。
「はーいそこまで!
俺にいい提案があるんだけどさー!」
「…なんだよ」
今度はバンビ先輩を睨む仁。
こ、怖いよー…!
「そんな怖い顔しないでよ!
言いづらくなるじゃんっ」
「わりー…
それで?なんだよ」
「えっとですね」
バンビ先輩の意見はこうだ。
仁の秘書として働くのはもちろん、一週間ごとに仁・バンビ先輩・のしんと代わる代わるに手伝いを私がしに行く。
私の仕事は増えるけど、それでへばるようなら私は生徒会を追放される。
そういう意見らしい。
って、え!?
私仕事できなかったったら追放されちゃうの!?
「ほう…鹿男にしてはいい提案だな」
「俺も昴之心に同意」
「ちょ、ちょっと2人とも!
言い方ひどくない!?」
仁とのしんは笑っていたけど、私は全然笑えない。
すごい私追い込まれてる気がするんだけど!?
「それじゃあそれで手を打とうぜ仁」
「おう、わかった」
のしんは仁のところへ行って、ハイタッチをした。
勝手に話進んでるけど、私にとっては全然嬉しくないんだけど!
「よし、それで行こう!」
「えぇ!?
ちょっと待ってください!」
「なんだよ?」
「なにー?」
「なんか文句でもあるのか?オレのしもべのくせに」
うぅ…!
3人の威圧感がすごい…!
「わ、わかりました…」
「それでこそオレのしもべだ」
そう言うしかないから言っただけです!
もう!仁ものしんもバンビ先輩もバカ!
そして私は…この日からこき使われることになった。