イケナイ狼君の××。

急接近!?


ひかりside


朝。
今日から違う意味での私の地獄な生活が始まる…気がする。


「はよーひかり」

「おはよう雅哉…」


相変わらず朝に私を起こしに来てくれる雅哉。
今日はいつもと違って雅哉の目の下のクマが薄い気がした。


「あれ?
雅哉、今日は朝帰りじゃないんだ?」

「なんでわかんだよ!?」

「え?だって雅哉のクマが薄かったから」


何年も雅哉と朝一番に挨拶してるんだから当たり前!


「さすが俺の妹だな…
兄ちゃん感心したよ」

「はいはい」


くだらない会話をして、私はリビングへと向かった。


「おはようひかり!」

「おはよう陸!
今日はなに?」

「今日は目玉焼きトーストだよ!
贅沢にひかりのはハム二枚!」

「やったー!」


いつも美味しい陸の料理を食べて、洗顔と歯磨きをする。


「おう、おはようひかり」

「おはよう雪斗!」


雪斗と珍しく洗面所で鉢合わせた。
その時にふと気づいた。


「あれ…?
雪斗髪の色変えた?」

「おー、気づいたのか。
さすが俺の妹だな」


やっぱり…!


「どうしたの?黒髪なんかにして!」

「俺出世したんだよ。
部長になれた」

「えぇ!?
おめでとう雪斗ー!」


つい勢いで雪斗に抱きついてしまった。


「おう、ありがとな」

「頑張ってね!」


うまくいってるみたいでよかった…!
私も頑張らないと!
こき使われても仕方ない!

気合を入れて、私は玄関を出た。
だけどその瞬間に私の気力は全てぶち壊されてしまった。


「ようひかり」

「…え?」


私は1回玄関のドアを閉めた。

お、おかしいなぁ…
もう1回!

ガチャ


「なに逃げてんだよバーカ!」

「…なんで!?」


やっぱり仁だ!
なんでこんなところにいるの!?

仁は私の家の玄関の前で、高級そうな車と共に待っていた。
しかも少し爽やかに。


「迎えに来てやったんだろーが。
早く乗れ!」

「い、意味わかんないんですけどー!!」


仁に押されて、私は助手席に放り込まれた。


「うし!行くぞ!」

「ちょ、ちょっと待って!
なんで家の玄関にいるの!?
てかなんで私の家知ってるの!?
それになんで仁が運転手なのー!!」

「質問が多いしもべだなー
仕方ねーな、最初の質問から丁寧にオレ様が答えてやろう」


そう言ってる間にも車は進んで行く。

う、嘘…!
仁って車運転できるんだ…!


「さてと、お前も落ち着いたとこで質問回答。
オレがお前を迎えに来たから。
オレは生徒会長だから知ってて当たり前。
オレは特別に16で免許取った。
これでいいだろ?」

「…はい」


全然意味わからなかったけど、とりあえずわかったことにしておこう…




























-生徒会玄関-


「着いたぞ」

「ありがとう…」


複雑な気持ちになりながらも、私は車から降りて生徒会玄関へと向かった。

ガチャン


「おはようございますひかり先輩!」

「今日は早いんすね!」

「2人ともおはよー!
なんかわからないけど、仁が私の家に来て車で送ってくれたの」

「「やっぱり…!」」


え?やっぱり?


「どうかした?」

「い、いえ!
なんでもないですよ!?」

「気にしないで先輩!」


うーん、怪しい…

様子がおかしい2人と話をしていたら、仁も玄関から入ってきた。


「おはようございます!」

「はよーっす!仁先輩!」

「おう、いつもご苦労だな」


な、なんか仁貫禄がある…!
でも少しムカつく!


「そういえばひかり」

「なに?」

「昨日のこと覚えてるよな?」

「あー…」


昨日のことと言ったらあれしかない。
バンビ先輩の変な提案。


「覚えてます…」

「今日は昴之心のとこ担当だ。
次は鹿男、その次にオレ。
その順番忘れるなよ」

「は、はい…」


あれほんとにやるんだ…
はぁ…気が遠くなりそう…


「それじゃあオレは行く。
幸村聖、お前らも仕事頑張れよ」

「「はい!」」


仁は早々に2階へと上がっていった。

私も行かないと…


「ひかり先輩、いったい何があったんです?」

「なんか回されてるみたいな感じっすけど…」

「あはは…大丈夫大丈夫。
とりあえずお仕事頑張るぞー!」


元気を精一杯出して私は2階へ行くのであった。





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