イケナイ狼君の××。


-2階-


……元気を振り絞って2階に来たのはいいんだけど…
のしんの会計室どこだっけぇぇぇぇぇえええ!!

早々に迷子。

こんなに広いし、全部英語表記だし、わかるわけないし!!


「どうしよう…」


確かCounting Roomじゃなかったっけ…?
でも場所までは…!
それに私まだ生徒会に入って二日目だし!

キョロキョロしながら廊下を歩いていると、いきなり左腕を誰かに掴まれた。


「へ…」


そして思いっきりグイっと引っ張られて、ドアの中へと引っ張られた。


「ひゃっ!」

「おせぇよ」


気づいたら、のしんに抱きとめられていた。


「へ!?のしん!?」

「やっぱその呼び方ダメ。
コウって呼べ」

「そ、その前に私から離れて!」

「あ、悪ぃ」


のしんはスっと私から離れてくれた。
私の心臓はすごくバクバクしていて、息がしづらい。


「こ、コウって呼べばいんだよね?」

「おう」

「わかった…」


朝からいろいろ疲れた…
って!私思いっきり書類踏んでた!
ていうかコウの部屋が散らかってるのに今気づいた!


「つか、お前俺の部屋の場所記憶してなかったろ」

「はい…すみません。
それよりコウ!
この私踏んじゃった書類に重要書類って書いてるんだけど!?」

「あぁ、それは大丈夫だ。
でも右足の方は昨日のやつだからやべぇな」

「えぇぇぇぇぇええええ!!?」


わ、私なんてこと…!


「大丈夫だって。
俺新しいの貰ってくるわ」

「そんなので大丈夫なの!?」

「おう、いつものことだしな。
行ってくる」


コウはそう言って、ゆっくり部屋から出て行った。

困ったなぁ…
私なにすればいいんだろう。

あたりをキョロキョロする。

あ…!
お部屋の掃除しよう!

書類の山のこの部屋を、片付ける決心をした。

とりあえず仁に掃除用具どこにあるか聞かないと!

スマホを取り出して仁に電話する。

プルルルル


『もしもし』

「もしもし仁?私だけど」

『どうしたんだ?なんかあったんか?』

「えっとね、掃除用具どこにあるのか聞きたくて…」

『おう、お前やっぱり冴えてるな。
さすがオレのしもべだ』


さ、冴えてる…?


『今日の仕事は昴之心の部屋の掃除だ。
一日かかるだろうから頑張れよ』

「うん…ありがとう…」

『掃除用具は昴之心のデスクの後ろにあるロッカーに入ってる。
エプロンとかマスクも入ってるぞ』

「ありがとう!助かった!」


仁にお礼を言って電話を切った瞬間、コウが戻ってきた。


「おかえりコウ!」

「あ、あぁ…
誰と電話してたんだよ?」

「仁!
掃除用具どこにあるのか聞いてた!」

「掃除…?
もしかして…ここ掃除すんのか?」

「え?当たり前じゃない!」


よーし、頑張るぞー!

さっそく腕まくりして書類を片付けようとした時、コウに腕を掴まれた。


「ちょっと待て!
1つだけ言っておく」

「なに?」

「書類片付けて整理してくれるのはありがてぇけど、どれがなんなのかちゃんと覚えとけよ?」

「うん!わかった!」


なおさら頑張るぞ!

私は何かにスイッチが入ったかのように黙々と作業をし始めた。
























――一時間後…


「ふぅ…結構頑張れたかな…?」


そう思って立ち上がってみた。


「まだまだだぞー」


コウの言う通り、部屋の三分の一も片付けられていなかった。

う、嘘…でしょ。
一時間ずっと頑張ったのに…

コウは呑気にソファーでくつろいでいた。

私がこんなに頑張ってるのに!


「コウ!手伝ってよ!」

「は?なに言ってんだよ。
俺は散らかったままでいいけど、お前が勝手に片付けてるだけだろ」

「うっ…」


まぁ確かにそうだけど…!
あぁ、もういいや!

また私は黙々と作業に戻った。




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