イケナイ狼君の××。
襲うって…
「だ、ダメぇぇぇぇぇぇ!!」
「うわっ!」
私はおもいっきりコウを突き飛ばした。
「痛って!
何すんだよ!」
「だ、だってコウが変なこと言うから!//」
「変なこと?
今の流れ的にそうだろ」
流れ…?
一瞬意味がわからなかった。
「今の状況になったら女はみんなそれを期待してんだろ…?」
「はいぃぃ!?」
こ、コウがまた変なこと言ってる!
「お前もそうなんじゃねぇのかよ」
「違うよ!」
「じゃあなんで俺とディープキスするんだよ」
「それは…」
コウはつまんなそうにソファーに座りなおす。
「俺のことが好きなんじゃねぇのかよ」
「…!」
ドキッとする。
鋭い目で私を見るコウ。
好き…
そんなのわかんない…
でも、コウは何か間違ってる。
「コウ、その考え方間違ってる」
「は…?」
キョトンとするコウ。
柄にもなく久々に私は人に意見を言う。
「コウを好きなら誰でもキスするの?
誰でもエッチするの?」
「あっちが俺を好きなんだからいいだろ」
「ダメだよ!
そんな安々と自分を売っちゃ!」
「!?」
目を見開いて驚くコウ。
「コウが好きじゃなくても相手がコウのこと好きだったらキスとかエッチするってことでしょ?
そんなの間違ってるよ!」
「……」
「恋なんかしたことない私が言うのもあれだけど、キスとかエッチってほんとにお互い好きだからするんじゃないの?」
目を逸らして何かを考えるコウ。
「相手が望んでんだからするのが礼儀だろ」
「だからそれが間違ってるんだよ!
今までの人は満足してきたかもしれない。
だけど私がその立場にいるなら悲しいよ!」
「……」
急に悲しそうな顔をコウはした。
だけど言ってあげないと絶対直せない。
「私だったら好きじゃないのにそんなことされた方がもっと悲しい。
フラれるより全然悲しいよ…」
「……」
私がそう言うと、コウがいきなり私を抱きしめた。
「コウ!?」
「悪い…お前を試したんだ」
「へ…」
試した…?
「お前は他の女と違うって改めて試したくなったんだよ…
だからって強引にあんなことして…悪かった」
「コウ…」
抱きしめるコウの手が少し震えていた。
「今更こんなことして信じらんねぇかもしれねぇけど、聞いて欲しい…」
「……」
すがるように抱きつくコウ。
まただ…
なんでこんなに悲しそうに私を抱きしめるの…?
「俺は今まで感じたことない感情をお前に抱いてる」
「うん…」
「優しくしてやりたい…
俺の傍に置いておきたい…
そう初めて思ったんだよ」
そう…なんだ
「今まで女なんてどいつもこいつも同じで、身体目的で近づいてきてんだと思ってた」
「うん…」
聞いていて私が悲しくなってきた。
「だけどお前は違う。
こうして俺の話を聞いて、俺のことを本気で叱ってくれる」
「……」
「お前は他の女なんかと比べ物にならないくらい…
俺にとって特別な女なんだよ」
「へ…」
特別な…
そんなことを初めて言われて、鼓動がうるさくなる私。
「会ってまだそんなに経ってねぇのに図々しいと思う…
だけど…俺はお前が欲しい」
「こ、コウ…!?」
すっとコウが身体を離す。
そして私を見つめた。
「だから…これからゆっくりでいい。
俺のこと知ってって欲しいんだ…彼女として」
「!?//」
突然のコウの告白に驚く私。
だけど嫌じゃなかった。
「お前を絶対大事にするし優しくしてやるって誓う…
だから…俺の女になれ」
コウ…
私の腕を掴むコウの手は、少し震えていた。
私はふと考える。
時間ってなんだろう…
相手を知らないまま付き合うのっておかしいことなの?
初めてばかりの私にはわからない。
だけど、自分に正直になることにした。
「…コウ」
「な、なんだ…」
目を逸らすコウ。
少し顔が赤くなっていた。
かわいい…!
「私の目見てよ」
「…嫌だ」
もう…
こうなったらこれしかないか!
私は顔を逸らしているコウのほっぺにキスをした。
「ひかり…!?//」
「…やっと向いてくれた」
赤い顔しながら固まるコウ。