イケナイ狼君の××。
コウside
柔らかく笑うひかりの表情は、どこか妖艶さが混じっていた。
鼓動が急にうるさくなる俺。
「コウ…私ね、恋なんてしたことないんだ」
「そうなのか…?」
ゆっくりと過去の話をし始めるひかり。
「私中学校の頃からイジメられてて、恋どころじゃなくてさ…」
「……」
イジメ…
「それに中学校からこんな身なりだし、モテるわけなくてさ!
彼氏なんてできたことないんだ!」
「ん…」
じゃあ仁は彼氏じゃねぇんだな…
一安心。
「性格もこんなだし…
なんにもわかんないし…
…こんな私でもいいの?」
「え…」
いきなり質問されて驚く。
こんなって…
「お前さ、少しくらい自信持てよバーカ」
「痛っ!」
ひかりの額に軽くデコピンをする。
「お前はすっげぇかわいいし、性格も俺は好きだ。
だから本気でお前が好きだって言ってんだろ?」
「コウ…」
言ってて俺も恥ずかしくなってきたじゃねぇかよ…
まったくひかりは…
自然と俺は笑顔になっていた。
「過去に何があったかはまだ俺にはわかんねぇ。
これから知ってけばいいじゃねぇか」
「うん…」
「俺はお前の全部を受け止める覚悟をしてる。
…まぁ、本気で好きなんだから当然だけどな」
愛おしく見えるひかり。
心地いい胸の鼓動。
「だから黙って…俺の女になっとけばいんだよ」
そっと優しく抱きしめる。
割れ物を扱うように。
「…うん…
よろしくね…コウ」
「…おう」
っつうことは…
「俺の女になるってことでいんだよな…?」
「そ、そうだよ!
何回も聞かないで!//」
照れるひかり。
ほんとかわいいな、お前…
俺はひかりにそっとキスをする。
「コウ!?//」
「そんな顔して俺を誘うお前が悪い」
「誘ってないよバカ!//」
「フッ」
照れながら否定するひかりがさらに愛おしくなって、さっきより長いキスをする。
「ん…」
漏れるひかりの吐息。
やべぇ…そんな声出すんじゃねぇよ…
「こ、コウ…?」
そっと唇を俺は離した。
「なんだよ…」
「い、いや!なんでもない!」
ん…?
もしかしてひかり…
「もっとキスして欲しかったか?」
「ち、違います!//」
見え見えなひかりについ笑みがこぼれる。
ほんとわかりやすい奴。
だけどそんなとこも好きだ…
でも今は駄目だ。
これ以上キスすると止まんなくなる…
俺はひかりを大切にしたい。
「とりあえず、仕事するか」
「あ、そうだよね!
何すればいい?」
「そうだな…
まだ片付いてない書類の山の整理よろしく」
「わかったー!」
張り切って仕事をするひかり。
その姿を見ていたら、珍しく俺も仕事をする気になった。
「ひかり…好きだ」
「へ?なんか言った?」
「な、なんでもねぇよ!」
ひかりが俺の傍にいて仕事すんのも…あと6日か…