イケナイ狼君の××。

仁side


俺が高校1年の時、当時ひかりは中学3年生。
出会ったのは…ひかりがイジメられている現場を見たことが最初だった。


「おい瀬戸ー
これ買ってくれよ!」

「そうそう!買ってよー!」


あ?
なんだアイツら。

商店街のとある店で、男女数名とひかりが店の中にいた。
ひかりは荷物持ちをさせられていた上に、無理やりカバンやら香水やらを買わせられそうになっていた。

めんどくせーな…

なんだか気になったオレは、その店へつかつか入った。


「おいてめーら」

「あ?」


オレが話しかけると、男子が睨みつけてきた。
オレにとっては大したことはない。
ひかりはすごく怯えた様子だった。


「何やってんだよ。
こんなことして何がおもしれーんだ?」

「あんたには関係ないだろ」


ほう…
中学生のクセに年上に楯突くってのか。
上等だ。


「口で済んでるうちにやめろって言ってんだよ。
聞こえねーのか?」

「あんた誰だよ!
他人が口出しすんなっての!」


チッ…
ほんとめんどくせーヤツらだな…

できるだけ問題をおこしたくないと思ったオレは、咄嗟に思いついたことを言った。


「ソイツ、オレの彼女」


ひかりを自然と指差していた。
とても驚いた様子をしているひかり。
他のヤツらもビックリしていた。


「はぁ!?彼氏!?」

「ワリーかよ。
だから失せろ」


睨みをきかす。
そしたらひかりをイジメているヤツらが逃げていった。
ふとひかりに視線を戻すと、泣きそうな顔をしていた。

ヤベ…
ちょっと言い過ぎたかな…


「おい…」

「はぁ…
ありがとうございます!」


ひかりは泣きそうな顔から一変して、すごく元気な笑顔になった。
オレは一瞬にしてひかりの虜になった。


「あ、いや…まぁ。
大丈夫かよ?」

「はい…おかげさまで…」


安心した顔をするひかりを見て、オレも安心する。
なんで身体が動いたのかはわからないけど、既にオレはひかりを気になっていた。


「なぁアンタ」

「アンタじゃなくて…瀬戸ひかりです」

「あ、あぁ…ひかり。
ちょっとオレと話さねーか?」


そう言ってオレ達は海へと足を運んだ。
オレのお気に入りの場所。


「私もここお気に入りなんです!」

「そうなのか!」


偶然だった。
それからオレ達は話しが弾んで、気づいたら夕方になっていた。


「そろそろ帰るか!」

「はい!
…あ、そういえば…」

「なんだ?」

「お名前…聞いてなかったなって」


会話が楽しすぎて名乗るのを忘れていた。

どうせなら忘れられない自己紹介でもするか!


「耳穴かっぽじってよーく聞けよ?」

「は、はい!」

「オレの名前は、一匹狼の神風だ!
どうだ?覚えたか?」

「はい!」


夕日に照らされているひかりの笑顔はオレの目に焼き付いた。
離れがたかったけど、その日はそのまま帰った。
家に帰ってからも、ひかりのことが頭から離れないでいるオレ。
なんだかモヤモヤして親友の鹿男に電話する。


『もしもーし』

「鹿男?オレだけど」

『どしたの?』


女にモテるコイツなら相談しやすいな…

鹿男は中学の時から女子にすごくモテる男。
容姿だけじゃなく、内面も優しくて紳士的だから女が惚れる。
オレとは正反対の性格だった。
だけど何故か昔から馬が合う。


「あのさ、気になるヤツがいるんだけどよ…」

『え!?ちょ、それほんと!?』


相当驚いている様子の鹿男。

まぁ…無理もない。
オレが女のことで相談したのはこれが初めてだからな。


「あぁ…
それで、〇〇中学校の瀬戸ひかりってヤツ調べて欲しい」

『中学生!?』


そんなに驚いてんじゃねーよ…

鹿男は高校に入ってから、情報収集するようになった。
だからオレにとっては使える情報網。
すごく頼りになる。




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