イケナイ狼君の××。


「いーから何も聞かずオレの手伝いしろっての」

『はいはい!
相変わらず仁は横暴だなぁ』


そんなことを言っても、絶対協力してくれる鹿男。
絶対オレを裏切らないところが昔からいいと思っていた。


「よろしくな」


電話を切る。
そして一時間後、鹿男から折り返し電話が来た。


「早いな。
さすがだ鹿男」

『サンキュー!
それで…』


鹿男からいろんなことを聞いてビックリした。
相当ひどいイジメをされていること。
家族にも言わず1人で頑張っていること。
視力が悪くもないのにメガネをかけていること。
ひかりを知ったら、さらに気になった。


「…鹿男」

『なに?』

「ひかりの中学校の場所…教えてくれ」


オレはひかりに直接会いに行くことにした。
どうしても気になる。
どうしてもひかりの口から真実が知りたくなった。
















--次の日


放課後、ひかりの通う中学校の校門でひかりを待つ。
帰っていく生徒達から痛いくらいの視線を感じる。

あぁ、そうか…
オレ見た目目立つか。

中学から金髪だったオレ。
ひかりの中学校は真面目そうな生徒ばかりだった。

早くこねーかな…

校門から玄関の方を見ていると、昨日と同じひかりをイジメる男女とひかりが玄関にいた。

またかよ…
アイツら凝りねーな。

だんだん近づいてくる。
校門まであと数メートルのところで声をかけた。


「ひかり!」


ひかりを呼ぶと、昨日の怯えた表情とは違う素直にビックリした顔だった。


「また彼氏かよ…!」


オレが声をかけた瞬間に、ひかりの周りにいるヤツらはそさくさ逃げていった。
そっとひかりに近づく。


「一緒に帰ろーぜ」

「か、神風さん…!
なんでここに!?」

「そんなことはどうでもいい。
今日もオレに付き合え」


半ば強引にひかりの腕を掴んで歩く。


「神風さん…!」


ひかりの声を無視して、オレはとある喫茶店へ足を運んだ。


「ワリーな、強引に連れてきちまって」

「いえ…」

「飲み物頼めよ。
奢ってやっから」


そう言うと、ひかりは素直にココアがいいですと言った。

なんだ、意外と素直なんだな…

ひかりの新たな一面を見れた。


「なぁひかり。
話があるんだけど」

「はい…?」


頼んだコーヒーを一口飲んで話しを続ける。


「お前さ、どこの高校入る予定なんだ?」

「え?」


オレからのいきなりの質問に戸惑うひかり。


「一応南高校にしようかなと…」

「オレの高校に来い」

「え…?」


目を泳がせて動揺するひかり。
だけどオレは真っ直ぐひかりを見る。


「オレんとこの高校入って、オレのものになれ」

「はい!?」

「伝わらなかったか?
オレの女になれって言ってんだよ」


なんて言ったらいいかわからないオレは、こんなことしか言えなかった。


「オレの女って…彼女ですか?」

「そうだよ」


改めてそう言われると恥ずかしいな…


「私神風さんのこと何もしらないです…」

「これから知っていけばいい」

「知らないんですけど…気になるんです、神風さんが」


不意に言われたその言葉にドキっとする。
女と付き合ったことはあった。
だけどオレから告白したことはないし、本気で好きになった女は今までいなかった。
だからひかりが初恋と言ってもいい。


「私見た目地味ですよ…?」

「今見てるお前はほんとのお前じゃない」

「!?」


ほんとわかりやすいヤツ。
当てずっぽうで言ったけど…当たってんだな。



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