イケナイ狼君の××。
「そーいやよーひかり」
「はい…?」
「もう8時半だぜ」
「えっ…」
急いでカバンから携帯を取り出して時間を見たら…確かに8時半だった。
完璧に遅刻。
新学期早々遅刻。
最悪なスタートだった。
「あーあー
ひかりのせいでオレも遅刻だぜ」
「さっきから…
なんでも私のせいにするのやめてもらえます!?
ぶつかった私も悪いですけど、お互い様ですからね!?」
「へー…しもべのクセによく言うじゃん」
口角を上げて笑ってるけど、目が笑ってない…
怒らせたら怖そうだしこの人…
「ごめんなさい…」
「あ?何謝ってんだ!
オレは褒めてんだぞ?」
「へ!?」
「お前見た目地味だしなんも自己主張なさそーじゃん」
はい…この見た目ならごもっともです。
「だけど意外と言えるんじゃねーか!
オレそういうヤツ好きだぜ」
「あ、ありがとうございます」
少年のようにニカッと笑う彼に少し目を奪われた。
やっぱりそんなに悪い人じゃないのかな…?
「さてとー遅刻決定だし、今日は学校いいからオレに付き合え!」
「えぇ!?
遅刻決定ですけど欠席になっちゃうじゃないですか!」
「大丈夫だって。
オレに任しとけ!」
親指を立ててウインクをする神風さん。
全然大丈夫じゃないんだけど…
雪斗に連絡いったらどうしよう!
1人でアタフタしていると、神風さんが携帯を出して誰かに電話し始めた。
「もしもしオレ…うん……今日ちょっと事故ってな…あ?別に気にすんな」
「……」
誰と話してるんだろう…
「それじゃあよろしく…おう!大丈夫だっての!はいはーい」
ほんの数秒の会話で終わった。
「大丈夫だぞーひかり!
欠席取り消しー!」
「一体何したっていうんですか!?」
「そのうちわかるさ」
「はぁ…」
なんなのほんとにこの人…
今日なんかいはぁ…って言ったかわかんないや。
「とりあえずオレに付き合え!」
「なっ…!」
やっぱりこの人勝手すぎる!
もう一発ドカンと言ってやらないと!
「あのですね!
さっきも言った通り、私も悪いですけど!
いいように使われるなら納得いきません!」
「ごたごたうるせーしもべだなー」
めんどくさそうに頭をかきむしる神風さん。
そんな顔されても実際そうだし!
反論は許されないし!
「じゃあ、オレのしもべ兼生徒会長の秘書ってのはどーだ?」
「はぁ!?
まったく意味がわからないです!」
なんで生徒会長が今出てくるの!?
「お前知らねーのか?
生徒会に入ってるヤツらってのは授業にでなくても単位取れるんだぜ?
まぁ、その分生徒会で働かなきゃなんねーけどな」
「えぇ!?」
そうだったんだ…!
確かに生徒会の人学校であんまり見ないし…
人気っぷりもすごいから教室も入っちゃいけなかったっけ。
「でもなんでいきなり?」
「それはオレのお気に入りの場所で話してやるよ!
ついてこい!」
「結局!?」
強引に神風さんに腕を引っ張られて、私はついて行くのであった。