イケナイ狼君の××。
ひかりside
放課後、なんだか落ち着かなくて私は鹿男のお気に入りの場所に来ていた。
「やっぱり落ち着くなぁ…」
一目で気に入ってしまった書斎の雰囲気を満喫する。
まだ生徒会に来て少ししか経ってないのに…
いろんなことが起きすぎて混乱しちゃうよ…
相変わらず思い出せない記憶。
モヤモヤして落ち着かない。
何かはわからないのに、大事なことのような気がした。
「はぁ…」
ソファーに座る。
この広い敷地内に6人しかいないから、周りはシンと静まり返っていた。
「仁…」
仁のことばかりさっきから考えてしまう。
強引で横暴で悪魔みたいな仁。
最初は苦手だと思っていたはずなのに…
どうしてこんなに気になってしまうんだろう。
「仁…!」
ここにいるはずもない仁の名前を呼んで1人苦しくなる。
なにやってるんだろう私…
あれ…?眠たくなってきちゃった…
だんだん視界が暗くなって、私は眠りについた。
『ひかり、俺の女になれ』
仁!?
また夢の中に仁が現れる。
今度はなにを言ったのかちゃんと聞こえた。
俺の女って…!
『好きだ…』
優しい目で私を見る仁。
こんな表情見たことなかった。
だけどこんなに鮮明に映るのは…
きっと私が見たことがあるから。
思い出せないだけで。
『思い出せ、ひかり』
へ…?
夢の中で私に訴える仁。
『お願いだから思い出してくれ…
オレは今でもひかりが…』
私が…なに?
『……』
私が呼びかけても、だんだん遠くに行ってしまう仁。
夢の中で私は必死に追いかける。
仁!
その言葉の続きはなに!?
『ひかり…オレとの記憶を思い出せ』
それだけ言って、仁はスっと姿を消した。
記憶…
どうしたら思い出せるの…!
その瞬間、遠くからまた声が聞こえた。
「…り」
「ん…」
「ひかり」
ゆっくり目を開けると、私の顔の真上に仁の顔があった。
「じ、仁!?」
「やっと起きたか」
私は仁に膝枕されている状態。
な、なんでこんな体制!?
それになんでここに仁が…!
パッと起き上がって携帯を見ると、午後6時になっていた。
「もう6時!?」
「おう、何時から寝てたんだよ?」
確か…4時くらいだった気が…
「かわいい寝顔だったぜ?」
「なっ…!//」
悪戯っぽく笑う仁。
久しぶりにその表情を見た気がした。
「もう暗くなってきたぜ。
帰るぞ」
そう言って、仁は立ち上がって制服の上着を着る。
なんか…
このままじゃいけない気がする…!
「じ、仁!」
私は咄嗟に仁に声をかけていた。
「仁あのね…!」
「…し」
「…!//」
優しく私の唇に人差し指を押し当てる仁。
いきなり触れられて身体が熱くなる。
「ひかり、ちょっと付き合え」
「へ…?」
夢で見た優しい仁の表情。
覚えているはずがないのに、なぜかなつかしく感じてしまった。
「うん…」
私は大人しく仁に着いて行くことにした。