イケナイ狼君の××。


黙って神風さんについて来た先は…


「えっ…ここ!?」

「おう!そうだけど?」


そこは私の大好きな…海蔵がいつもキラキラしている場所だった。

なんで神風さんがここを…


「ここ、私も好きなんです」

「へー、奇遇だな」


神風さんのイメージではゲーセンとかごちゃごちゃしてそうなところだと思ってたけど、意外と繊細?


「とりあえず座るか」

「あ、はい…」


砂浜に2人並んで座る。
大好きな場所に誰かと来たことはなかった。
来るなら大好きな人と…そう思ってたけど、まさか神風さんになるなんて。


「お前さーイジメられてんだろ?」

「えぇ!?」


唐突な質問につい身体が動いた。

なんてデリカシーないことを聞いてるのこの人!


「い、イジメられて…ません」

「あ、敬語はよせよ同い年なんだし。
それにオレのことは名前で呼び捨てで呼べ」

「…」


相変わらずコロコロ話題が変わる人だなぁ…


「お前嘘つくのヘタクソだなー
見え見えなんだよ!」

「そんなこと…」

「強がんのもいい加減にしとけよー
オレは生徒会長だぞ。
そんなんすぐわかる」

「うん……って、えぇ!?」

「あっ、やべー…」


つい口走ってしまったかのように、仁は動揺していた。


「せ、生徒会長って本当なの!?」

「まだ言うつもりなかったのにな…
アホだオレ」


いやいやいや!重要ですそこ!


「でも生徒会長って3年生からなはずじゃ…」

「お、オレは最強だから2年でも生徒会長になったんだっての!」

「は、はぁ…」


さっきの冷静さとはうって変わって、意味不明なことを言う仁。


「とりあえず!
さっきオレがお前をなんで秘書にするかって話にもどるぞ!」

「う、うん…」


ま、まぁ…いっか!


「お前がイジメられてたことなんて1年の時から知ってた」

「なんで知ってたの?」

「それは内緒!
そんで、お前を秘書にしたらクラスに行かなくて済むし、
いい提案だなと思っただけだ!」


内緒にされた…


「まぁ確かにそうですけど…」

「生徒会なんてみんな入れるわけじゃねーんだぞ。
オレ入れて10人しかいねーからな」

「えぇ!?
そんなに少なかったんだね!」

「あたりめーだろー
生徒会はある意味特権なんだからよ」


でもそんな特権だらけの生徒会にどうして私が…


「そんなに安安と入れる生徒会じゃないのに、私なんかが入れるの?」

「そこはオレの生徒会長の権利でなんとかなるだろ」


…そんなに偉いものなの?生徒会長って…


「お前は何の心配もいらねーんだよ!
心気くせー顔してねーで、ご主人様の言うことだけ聞いてろ!」

「ひゃっ」


頭を思いっきりクシャクシャ撫でられた。
でも少し優しい。

なんで仁はこんなに私に気使ってくれてるのかな…


「それとも不満でもあるのか?
ご主人様の言うことに」

「なっ、ないです!」

「ハハハ!ったりめーだろ?」


なんか…強引でワガママそうだけど、やっぱりいい人なのかも…
それに生徒会なんて初めてだし、私変われるかもしれない!


「遅くなって悪かったな…ひかり」

「へ?今なんか言った?」

「イヤ!なんでもねーよバーカ!」

「……」


なんかだんだん仁を見てたら子供に思えてきた!
腹も立たなくなってきたかもw


「何笑ってんだよ!」

「い、いや!なんでもないよー!」

「ご主人様に隠し事とはいい度胸だなーしもべの分際で!
これでもくらえ!」

「あっ、あはははは!
くすぐらないでー!」

「イヤなら謝れ今すぐ!」

「ご、ごめんなさいー!」


なんだかんだで仁といる時間は楽しくてすぐ過ぎていった。

こんなに男の子と話すのも久しぶり。
ましてや初対面?なのに。
私…少し本当の自分を出せたのかな?




< 4 / 55 >

この作品をシェア

pagetop