イケナイ狼君の××。
*+。゚・第2章・゚。+*
文化祭企画!!
ひかりside
季節は過ぎて…
もう秋になっていた。
あの時仁と気まずくなってから、私は話しかけづらくて…
用事以外でちゃんとした会話をしなかった。
よく考えてみると、ちゃんと話さなくなってから結構時間が経っている。
この数ヶ月、仁のことで頭がいっぱいだった。
いろんな場所に行って、記憶も辿ってみた。
だけど、やっぱりなかなか思い出せずにいた。
様子がおかしいことを察知したのか、コウは私にキスをすることもあまりなくなってしまって…
付き合っているのかどうかもわからない状態。
だけどコウは気を使ってくれているのか、普通に話しかけてくれる。
そんな優しいコウに感謝していた。
ある日のこと…
「ひかり」
「んー?」
私は相変わらずコウの部屋を片付けていた。
「もうすぐ文化祭だぞ」
「え!?」
もうそんな季節だっけ…!
文化祭って確か…10月の後半だったっけ?
「あと一ヶ月くらい?」
「そうだな。
そろそろ、イベント考えねぇといけない時期か」
イベント…?
「何かしないといけないの?」
「当たりめぇだろ?
俺達生徒会なんだから」
「そ、そうだよね!」
生徒会だもんね…!
私未だに実感ないや。
そんなことを考えていた時、コウの携帯が鳴った。
プルルルル
「もしもし…おう仁」
「!」
仁という言葉に反応する私。
ダメだ…
仁のことは考えないようにしないと…!
「あぁ……ん?
そうか、おう…わかった」
短い電話。
コウは少し眉間に皺を寄せていた。
「どうかした?コウ」
「あ、いや…
なんでもねぇ…わけでもねぇ」
「…?」
コウが意味不明なことを言う。
珍しくて、少し動揺する私。
「ひかり…ちょっとこっち」
「ん?」
コウが手招きする。
私は言われるがままにコウのそばに近づく。
その瞬間、コウは私の腕をぐいっと引っ張ってキスをした。
「こ、コウ!?」
「…もっかい」
「ちょっとまっ…っ//」
私の言葉を遮るようにキスをするコウ。
こんなに強引にキスをするコウは久しぶりだから、少し胸がドキドキする。
コウ…
コウに身体を委ねる。
甘くとろけるような深いキス。
心地がよかった。
「ひかり…」
「んんっ…」
舌が入ってきて、さらに熱くなる。
コウ…もうダメ…
身体の力が抜きかけた時だった。
ガチャ
「昂之心、ひかりを迎えに……」
「!?」
背後から声がして、反射的に振り向く。
扉の前に立っていたのは…仁だった。
なんで…
もしかして見られた…!?
すごく胸が苦しくなる。
「待ってたぜ仁」
平然とした顔で仁に話しかけるコウ。
私は全然それどころじゃなかった。
「まったく、お前らはラブラブだな?」
優しく微笑む仁。
え…
なんで2人ともそんなに普通でいられるの…?
私がおかしいの?
「当たりめぇだろ。
俺の彼女だからな」
「それもそうか!」
笑い合う2人。
間に挟まれた私はどうしていいかわからず、身体が固まる。
気のせいかもしれないけど、2人の目は笑っていない気がした。
「とりあえず…
お前の大事な彼女サン、少し借りてくぜ」
「ほんとは貸したくねぇけど、文化祭のことで必要なんだろ?」
「おー!ワリーな」
え?え?
なんでそんなに話しが進んで…
それに文化祭って。
「ひかり、行くぞ」
「へっ!?」
仁は私の腕を掴んで歩き出す。
そんなわけのわからない状況なのに、久しぶりに名前を呼ばれたことにドキドキしていた。
「ちょ、ちょっと仁!」
「いいから黙って着いて来い」
「!」
冷たい視線。
さっきの笑っていた仁とはまったく違う表情だった。