イケナイ狼君の××。
--2時間後
「うぅ…やっぱり行かないとダメだよね…?」
「当たりめぇだろ?
早く行くぞ」
コウの会計室で、私は文化祭のミーティングに行くのが嫌だとだだをこねていた。
なぜかというと…
やっぱり文化祭のミーティングだから、校舎側の生徒会の人達も集まるらしい。
同じ学年の人は私を知っている人もいるはず。
だから怖くて行きたくない。
そう伝えると、コウは優しく私の頭を撫でた。
「大丈夫だから。
俺がついてる」
「うん…」
優しい瞳で私を見るコウ。
少しだけ不安が消えた。
そうだよね…
生徒会に入った以上、私だってやらなきゃいけないこともあるんだし!
頑張らないと!
「よし、行こう!」
「おう」
意気込んでコウと一緒に会計室を出て、ミーティング室へと向かった。
-ミーティング室-
コウと一緒にミーティング室に入った瞬間、さっき少し消えた不安がまた戻ってくる。
部屋にはびっしり生徒会の人達が集まっていた。
みんなの視線が私に集まる。
その目がとても怖くて、少し後ずさってしまった。
「おせーぞ、昂之心とひかり」
「悪い」
ホワイトボードの前に仁が立っていた。
その隣には鹿男と幸村と聖もいた。
「ひかり、早くコッチ来い」
「へ?あ、うん…」
仁に手招きされて隣へと歩み寄る。
仁私の背中に手を置いて、こっそり話しかける。
「大丈夫だ、心配すんな。
オレに任せろ」
「うん…!」
さっきコウにも同じようなことを言われたのに、仁に言われたら不安が全部吹き飛んだ。
自分でもびっくりするくらい、堂々としていられる。
「さて、みんな揃ったし…
ミーティングを開始する!」
パチパチと拍手する生徒会の人達。
私は拍手をする傍ら、仁の横顔を見つめる。
仁はやっぱり生徒会長だもんね…
すごい、ちゃんと仕切ってて発言力もあって…
カッコイイ…
って、私なに考えてるんだろう!
ミーティングに集中しないと!
「今回の文化祭は、去年行ったように今回も行うんだが
今年は昼と夜にビックイベントを計画した!」
昼と夜…?
去年は昼はやってたけど、夜のイベントなんてなかったような…
「とりあえずオレ達の意見は置いておいて、
お前らの考えた今年の文化祭への意見を聞かせてもらおう」
生徒会の人それぞれ意見を出し合う。
書記の幸村と聖がホワイトボードへ書いていく。
コウと鹿男はみんなが考えた企画書に目を通していた。
私はなにをすればいいんだろう…
そっと仁に視線をやると、バチッと目が合った。
少し恥ずかしくなって目を逸らす。
仁はフッと笑っていた。
「さて、だいたい意見は聞き終えた。
今度はオレ達の提案する企画だ。
というか、決定事項だけどな!」
自信満々に言う仁に、みんなはおぉと感心している様子。
こんな仁だから、みんな着いてこれるんだよね…
さすが生徒会長だよ。
私もみんなと同じく仁に感心していた。
「鹿男、企画書!」
「はいはーい!」
鹿男が仁へ企画書を渡す。
「さーてお待ちかね!
オレ達が考えた企画はこれだ!」
仁がそう言った瞬間、幸村と聖がホワイトボードをひっくり返した。
「名づけて!
ひかりの花嫁大作戦だ!」
「えっ…」
「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」」」
仁、鹿男、コウ、幸村に聖以外のみんなが声を大にして驚く。
もちろん私も。
は、花嫁大作戦って…!
なに考えてるのコウ!
「いいから落ち着け!
話を聞けよ」
仁がそう言った瞬間にみんな静まり返る。
人にはやっぱり発言力があると改めて実感させられた。
「ひかりって言うのは、ここにいる瀬戸ひかりのことだ!」
仁に思いっきり肩を抱き寄せられる。
みんなの注目が私へと集まっているのを感じて、顔が赤くなるのが自分でもわかった。