イケナイ狼君の××。


優しいけど少し強引な仁の言葉。
今まで触れられてきたドキドキより、今の方がずっとドキドキして緊張する。
昔私が忘れていた記憶。
戻った時の涙。
全部…仁が好きだから。


「仁…ごめんね」

「なんで謝るんだ…?」


ゆっくり身体を離して、ジッと私を見る仁。


「今まで記憶思い出せなくて…
私…!」

「黙れしもべ」

「んっ!?」


いきなり強引にキスをされる。
本当に唐突すぎて身体が石のように固まった。


「んんっ…!」


抵抗してもビクともしない仁の腕。

いきなりどうしたの…!

そう思った時、スっと仁が私から離れた。


「オレに謝るなひかり。
お前は何も悪くない」

「仁…」


真剣な仁の言葉。

さっき私が謝ったから仁が強引にキスしたんだ…


「今はオレのものだ。
まぁ…今まで他の男のとこに行ってた分、オレに奉仕してもらうけどな?」

「…!//」


悪戯な笑みを浮かべる仁にドキドキする。
顔が赤くなって身体も熱くなる。

もう仁は…!
ほんとに一緒にいると心臓いくつあっても足りないよ…!//


「ったく、そんな顔すんじゃねーよ…
可愛すぎて理性飛ぶだろうが…」


そう言って仁がまたキスをしようとする。


「ちょ、ちょっと待って…!」


そう言えばここは校舎の中庭。
下手したら生徒達に見られている可能性もある。
私は仁の口を押さえた。


「んんにふんだ!(なにすんだ!)」

「み、見られるかもしれないから…!//」


恥ずかしくて俯くと、仁がいきなり静かになる。

あれ…?

おかしいなと思って顔を上げた瞬間…


「バーカ」

「!?//」


いつの間にか左側に仁がいて、横から私にキスをした。

仁…!?
いつの間に//

仁がキスをした瞬間、キャー!!という声が中庭に響いた。


「え!?」


パッと振り返ると、渡り廊下にビッシリ生徒達がいた。
そして私達の方を指差して騒いでいる。

も、もしかして…!


「見られた!?//」

「当たりめーだろ?
わざとだ」

「え!?」


また悪戯な笑みを浮かべる仁。
その笑みを見た瞬間、私はハメられたことに気づく。

もしかして最初からみんな見てたんじゃ…!


「はーーい!
二人ともおめでとう!!」


いきなりメガホンから声がする。
視線を向けると手を振りながら満面の笑みを浮かべる鹿男がいた。

し、鹿男!?


「鹿男!よくやった!」

「俺だからね!」


何がどうなってるの!?
意味分からないよー!


「全校生徒にオレ達の証人になってもらうため、鹿男にこっそりみんなを呼んでもらってたんだ」

「えぇ!!?」


やっぱり仁の計画…!


「これで嘘も偽りもない。
正真正銘、ひかりはオレのだ」

「…もう」


いつも強引で何考えてるかわからなくて…
時々イライラすることもあるけど…
でも、そんな仁が私は好き。
だから…


「仁も正真正銘私のものだよ!」

「うおっ!?」


思いっきり仁に抱きつく。
その瞬間、また生徒達の歓声が中庭に響いた。

仁…
これからもあなたの側にいたい…
これからも…私をその強引さと悪戯さで振り回して?




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