イケナイ狼君の××。

文化祭準備!!


ひかりside


みんなの前で公言してからというもの…
私が通うはずだったクラスへ文化祭の手伝いをしに行くと、キャーキャー言われて大変だった。


「生徒会長ってどういう性格!?」

「やっぱりかっこいい!?」

「ひかりってこんなに可愛かったんだね!
もっと早くメガネはずして欲しかったー!」


…いろんなこと一気に言われると聞き取れないよ!

タジタジだった。

でも正直馴染めて嬉しい…
何もかも、仁のおかげだよ…

その時、竜子さんが一回手を叩いた。


「はいはい!そこまでにしなさーい!
準備しないと景品逃しちゃうよー!」

「あ、そうだった!」

「やばーい!」


竜子さんの一言でみんなが着々と準備を始める。

竜子さんもすごい発言力…!

感心していると、竜子さんが私の方をポンと叩いた。


「ほら、ひかりちゃんも参加しないと!」

「わ、私って何すればいんです…?」


文化祭の準備と言っても、私は生徒会だから他にも仕事がある。
ちょっと手伝えばいいと仁に言われたけど、具体的に何をしたらいいのかはわからなかった。


「うーん、私もよくわからないんだよねー
仁に頼まれたものの…」

「えぇ!?」


りゅ、竜子さんもわからないんじゃ…!

あたふたしていると、一人の女の子が私の前に来た。


「瀬戸さん?」

「はっ、はい!」


目の前には、竜子さんに負けないくらい綺麗な女の子。
長く綺麗な茶髪で毛先が少しくるくるしている。
スタイルも綺麗で、モデルのような子だった。


「というか、別に同じクラスなわけですし…
下の名前で呼んでもよろしいかしら?」

「う、うん!もちろん!」


ニコッと笑う彼女に釣られて私も笑う。

すごい…!
上品さがある…!


「わたくしの名前は柊 瑠璃(ひいらぎ るり)。
瑠璃って呼んで頂ける?」

「瑠璃…!
よろしくね!」


握手を交わす。

また友達が増えた…!
嬉しい!

そんなことを考えていたら、いつの間にか隣にいたはずの竜子さんがいなくなっていた。

あれ!?
竜子さん!?

辺りをキョロキョロしても見当たらない。


「あぁ、竜子先輩なら先程教室を出て行かれましたわよ」

「えぇ!?」


い、いつの間に…!
ま、いっか…瑠璃がいるし。
あ…そう言えば瑠璃ってお嬢様言葉だ!
もしかして本当にお嬢様!?


「ねぇ瑠璃…!」

「ひかり瑠璃ー!
生徒会からガムテープもらってきてくれるー?」


瑠璃へ質問しようと思った時、同じクラスの女の子がそう言った。


「分かりましたわ。
行きましょう?ひかり」

「へ?あ、うん…!」


スタスタ歩いて行く瑠璃の後を急いで追いかけた。





-廊下-


「はぁー」

「!」


誰もいない廊下で、いきなり瑠璃が大きなため息をつく。
さっきの気品漂う表情とはまったく違った。


「どうかしたの…?」

「ほんっと疲れるよねー!
なーにが清楚にお嬢様らしくよ!」


あまりの瑠璃の豹変っぷりに驚きを隠せない私。

あれ…?
ほんとにさっきまでの瑠璃!?


「あ、ごめんねひかり。
ひかりなら言うんだけど…」

「う、うん…」

「アタシ、自分で言うのもなんだけど…
柊財閥のお嬢様なの」

「えぇぇぇぇええ!!?」


ひ、柊財閥って…!
あの有名な!?

瑠璃は柊財閥のお嬢様として、学校では清楚にお嬢様らしく振舞うよう言われてるらしい。
柊の名に恥じないような行いを強いられている…とか。

そうだよね…
お嬢様だもんね…


「アタシ、正直そういうの面倒なの。
ほんとはこんな性格と喋り方だし。
みんなの前で素を出せないのが嫌なのー」

「そ、それじゃあ…
なんで私には…?」

「さっきひかりと交わした言葉、表情でこの子ならもしかしたら本当の友達になれるかも!って思ったの!」


さっきとは違う笑顔を見せる瑠璃。
真っ直ぐ仁のように思いを伝えてくれる。
すごく嬉しくなった。



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