イケナイ狼君の××。
あ、そういえば連絡先交換してなかった…
っていうか連絡先交換以前の問題が…!
「ほら、早く携帯だせ」
「あ、あの…仁」
「なんだよ?
しもべに拒否権ねーぞ」
「いや、あのね…」
私…
「携帯持ってない…」
「はぁぁぁぁぁああああああ!!?」
海の向こうまで届く大きい仁の声。
無理もないよ…
今時携帯持ってないなんてありえないし。
「昨日時間確認のために携帯出したろ!」
「あー!あれは兄の前の携帯を時計がわりにしてるだけ!
それと一応形だけでもと…」
「ウソみてー…ありえねー」
あはは…
なにも返せないです…
「なに?金ねーの?」
「いや!そうじゃないけど、どうせ連絡する相手もいないしなぁって…」
「……」
言ってて悲しくなってきた…
でも事実だしなぁ。
「そーかよ!お前地味にひでーこと言うんだな」
「えぇ!?
私なんかひどいこと言った!?」
「すっげー言った!
あー、オレのガラスのハートが傷ついた…」
それは多分嘘だと思うけど…
私何か変なこと言ったかなぁ。
「連絡する相手がいないだって?
このオレがいるのにまだそんなこと言うのか?」
「えっ…」
な、なんか今すごいこと言われたような気がするんだけど…!
「とりあえず!
しかたねーから、ほらっ」
「え?」
仁は制服の右ポケットから携帯を取り出して私に投げた。
ぴ、ピンクだ…
かわいいし!
「これ仁の携帯?
かわいい趣味してるんだねー!」
「バーカ!なんでオレがこんな携帯持たなきゃなんねんだよ!」
そう言って仁はこっちだよ!と黒い携帯を見せた。
えぇ?
じゃあこの携帯…
「お前用だよ。
料金とかは気にしなくていーから、ボロ雑巾みたいになるまで使えよ!」
ボロ雑巾って!
っていうかなんで!?
「さっきは正直ビビったけど、まぁだいたい予想はしてたからな」
「何を?」
「お前が携帯持ってねーことだよ。
昨日見た時、お前っぽくない携帯だったからちょっと気になってたんだ」
す、鋭すぎる…!
仁何者なの!?
「もうその携帯にはオレの番号は入ってる。
いいか?オレ以外の番号入れるんじゃねーぞ!」
「家族は!?」
「ダメだ」
「なんでー!!」
「ダメって言ったらダメなんだよ」
「そんな…」
ほんといい人なんだか悪い人なんだかわからない人だなぁ…
そう思いながらも、初めて持った携帯だから内心嬉しかった。
「ありがとう…仁」
「お、おう…
そんなバカ正直に礼言われるとくすぐってーな…」
あ!仁が照れてる!
仁はそっぽを向きながら頭をぐしゃぐしゃ掻きむしっていた。
「仁って意外と恥ずかしがりや?」
「うるせー!//
しもべのくせに!」
「はいはーい!」
なんか仁かわいいかもw
「ほら!早く行くぞ!」
「はーい!」
つかつか行ってしまった仁を追うようについて行った。