イケナイ狼君の××。
無言で歩くこと20分…
「やっと着いた…」
無言だったせいか、通学路が長く感じてしまった。
体感時間はきっと1時間くらいだと思う…
学校に入る前から疲れきっていた。
「さーてと、もう少し移動するぞ」
「うそ!?まだ歩くの!?」
「当たり前だバーカ」
うぅ…
気落ちしながら黙ってまた仁について行った。
「あ、そーいや」
学校の裏側に来た時に、仁がいきなり立ち止まった。
「どうかしたの?」
「生徒会には変なヤツらばっかいるけど、あんまり気にすんなよ!」
「……」
仁より変な人なんているのかな…
内心少し笑いながら再び仁について行くと、深い森の前まで来ていた。
あれ、こんな森あったっけ…?
校舎の裏なんて来たことなかったから分からなかっただけかも。
「さ、行くぞ」
「どこに行くの!?」
「あ?生徒会に決まってんだろうが」
えぇ!?
こんなところにあるはずないし!
「いいからしもべは黙ってついて来い!」
「もう…」
しもべって言われるのも慣れてきた私がムカつく!
そう思いながら、黙って歩く仁の背中を見ていて気づいた。
仁って意外と背中大きいなぁ…
男の人って感じ。
男の人なんだけどw
身長も高いし、細いけど筋肉質で…
ドンッ
「いたっ!」
仁の背中に思いっきりぶつかってしまった。
「いきなり止まらないでー!」
「お前からの視線がすげーんだよ!」
仁ってやっぱり何者!?
「ボケっとしてないで行くぞバーカ」
「いてっ!」
仁に思いっきりデコピンされた。
仁はやっぱり悪魔だー!!
イライラしながらも、2人で深い森の中へと足を進めた。
――歩くこと10分
「見えてきたぞー」
「はぁはぁ…へ…?」
顔を上げると、目の前に大きなお城のような建物が見えた。
「あれが生徒会で使ってるところだ」
「えぇぇぇぇええええ!!?」
う、うそ!
あんなに立派な建物!?
しかもなんでこんなところに生徒会があるの!?
一気に私の疲れが吹き飛んだ。
「さてと、行くぞ」
「は、はい…!」
なんだか緊張する…!
少しずれていたネクタイを直して、ついて行く。
「う、うわー!」
入口の前に来たら、さらに緊張してしまった。
すごく豪華で高級そうな感じが伝わる。
「どーぞ」
「あ、ありがとう…」
いきなりレディーファーストになる仁。
すごく動揺してしまう私。
お言葉に甘えて…
開かれた扉の中に入った瞬間、
「よくおいでくださいました、ひかり様」
「お待ちしておりました」
すごく美形な男の子が2人私の前に現れた。
「おー、迎えお疲れさん幸村、聖」
幸村さんと聖さんって言うんだ…この人達。
「仁先輩歩いて来たんですか?」
「おう、もちろん。
コイツ送って来なきゃいけなかったしな」
こ、コイツ呼ばわり!?
ていうか、幸村さんって年下なんだ!
じゃあ幸村くんかな?
「へー!仁先輩も歩くんすねー!」
「ちょ、ちょっと聖!」
聖さんも年下なのか!聖くんか!
すごいな聖くんw
仁にはっきり言えるなんて!
仁はものすごく不機嫌そうな顔をしていた。