イケナイ狼君の××。
「聖てめー…このオレにケンカ売ってんのか?」
や、ヤバイ…!
仁の目がマジだ…!
私は少し怯えながら仁を見ていると、そんな仁をまったく気にしないように聖くんは笑っていた。
「まさか!
仁先輩に喧嘩売るなんて自殺行為っすよ!」
「わかってるじゃねーか」
「すみません仁先輩…弟が生意気なこと言っちゃって…」
ぺこぺこ頭を下げる幸村くん。
な、なんて礼儀正しい子なの…!
「謝るな幸村。頭上げろ」
「そうだよ兄さん!
冗談だから間に受けないでよ!w」
「冗談だったんですか!?」
ええー!?
私も幸村くんと同じく驚いてしまった。
ん…?
今そういえば聖くん、幸村くんのこと兄さんって呼んだよね…?
「ね、ねぇ幸村くん」
「はい!なんでしょう?」
「幸村くんと聖くんって兄弟なの?」
「あ!そういえば僕達の自己紹介まだでした!すみませんっ」
またぺこぺこ頭を下げる幸村くん。
な、なんか悪い気がしてきた…!
「僕は宍戸幸村って言います!1年です!
そして、隣にいるのが僕の弟の聖です!」
「うぃーっす!聖っす!
気軽に呼び捨てで呼んでください!」
「あ!僕も呼び捨てでお願いします!」
かわいいなぁ2人とも。
こういう弟が欲しかった…!
「私のことも呼び捨てでいいよ!」
「え!ほんとですか!?」
「マジかよ!やったー!」
そんなに喜んでくれるなんて…!
こんな地味な私(見た目と表だけの性格)でもそこまで言ってくれるなんて!
勝手に1人で感心していた。
「ひかりが許しても、オレが許さねー」
へ…?
なにを言ってるのこの人は。
仁は私を庇うように前に立った。
「そんな堅いこと言わないでくださいよ仁せんぱーい!」
「そうだよ仁!
いいじゃない別に!」
「あ?しもべは引っ込んでろアホ」
「「!!?」」
私と仁が会話した瞬間、幸村と聖は石のように固まって驚いた顔をしていた。
口も少し開いていて、開いた口が塞がらない状態になっている2人を見て、逆に私が驚いた。
なんか私変なこと言った!?
「…ん?
幸村に聖、お前らどーしたんだよ?」
「あ、いや…あの…」
「えっとっすね…」
歯切れが悪い2人。
「なんだよ?
ハッキリ言え!」
「いや…厚かましいとは思うんですが…
ひかりさんが仁先輩にタメ口なことに驚きまして…」
「俺もそれっす!
それ思いました!」
へ?
同い年なら当たり前じゃないの?
頭の上にハテナマークが飛び交った。
「いいじゃねーか別に。
オレのしもべだ、どうしようとオレの勝手だろ?」
「し、しもべ!?
ひかりさんてそういう存在なんですか!?」
「ああー!違う違う!
仁が勝手に言ってるだけだからね!?」
なんてこと言ってるの!
仁のバカバカ!
「は?事実を言ったまでだろーが」
「事実じゃないー!」
「まぁまぁとーりーあーえーずー!」
私と仁を仲裁してくれた聖。
私子供だ!
年下の子に仲裁されちゃったよ…
少し肩を落とした。
「ひかり…いや!ひかりさん!
俺達がここ案内しますよ!」
「あ、忘れてました!
すみません!ひかりさん…」
「いいのいいの!気にしないで!」
「……」
幸村と聖を少し睨む仁。
そ、そんなに睨まなくたって!
「くまなく案内してやれよ。
これから一緒に過ごす仲間だ」
「「了解しました!」」
仁はそれだけ言って、階段を上って2階へ行ってしまった。
なんであんなに不機嫌だったんだろう…
「じゃあ気を取り直してひかり先輩!
行こーぜ!」
「そうですね!
改めましてよろしくお願いしますひかり先輩!」
「2人とも先輩なんてつけなくていいのに!」
「やっぱりこっちの方が僕に合ってます!」
「俺も先輩つけるのが合ってる!」
やんわり笑った2人は、私の目にはすごくかわいく見えた。
「さーて!
行きましょーか先輩!」
「ご案内する場所がたくさんあるんですよ!」
「あはは…確かにここ大きい感じがするしね…」
でもまだ歩くの!?
私足限界だよー…
でもせっかく案内してくれる2人にそんなこと言えないし…!
そう思っていると、
2人の後ろに長身で紳士そうな男の子が立っていた。