そして、また

男子だろうが女子だろうが何て話しかけられても無視する山口涼太。

でも私だけには返してくれた。

それだけでこんなにも嬉しくなったんだ。

それだけで幸せな気分だった。

そしてその日の帰り、友達と帰ろうとした私は鞄の中に教科書を入れてた。

「三月」

隣から声がした。
彼の声が、私の名前を呼んだ。

一瞬固まるが、冷静なふりを装って隣を向く。

やっぱり彼が、山口涼太がこっちを向いていた。

「なに?」
首を傾げながら言うと彼は目を見開く。
なぜそんな反応をするのだろうか。
私はまだ彼の事を全く知らない。




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