30㎝
「どうでもいいから
あの先輩、彼女いるの?」
「あ…!」
そっか…私肝心なこと忘れてた。
彼女の存在……
「バスケ部ってモテそうだよね…」
不安そうな顔をする私を見てヤマケンは言った。
「心配すんな!敬太くん彼女いねえから!」
「ほんとに!?」
「うん」
目の前がパアッと明るくなって、一気に不安が吹っ飛んだ。
良かった…
彼女いないんだ…!
「良かったじゃん咲良!」
「うん…!私ってば、肝心なこと聞くの忘れてた」
喜ぶ私とまなを見て、ヤマケンも一緒に笑っていた。
でも、この時の私にはヤマケンの複雑そうな表情に気付くことが出来なかったんだ。
全く知らない
敬太先輩の過去…
ヤマケンはそれを知っていた。