30㎝
「でも仕方ないだろ?」
「………………」
「愛美の気持ちは前から知ってたし、浜野の気持ちにも何となく気づいてた。」
「そうなの?」
「見てたら分かるって!それに俺ら、いつも一緒だからな。」
「そっか…」
ヤマケンは知ってたんだ。
「ごめんねヤマケン、何もできなくて」
「気にすんな!お前だって愛美と仲良いんだし、思いっきり応援してやりたいだろ?俺は大丈夫だから。」
「ホントに?」
「あーもうお前しつこいって!」
「ごめん…」
うつむく私の頭をポンポンッと叩いてヤマケンは言った。
「ありがとな!」
顔を上げると、ヤマケンはいつものように笑っていて、私もつられて笑った。
いつの間にか愛美と浜野はいなくなっていて、多分二人とも家に帰ったんだろう。
気づかないうちに大分歩いた。
「二人のこと応援するって決めたから!杉本も頑張れよ!じゃあな!」
「うん!!また明日!」
帰っていくヤマケンの背中が、すごくカッコよく見えた。