田中のくせに!!
「男?」
「っは?」
夜、リビングでスマホをいじっていると、突如背後から現れた田中。
「彼氏欲しいのは分かったけど、あんなに教室で堂々と宣言すんの、やめろよなー」
そして冷蔵庫を開けて、ミネラルウォーターを取り出す。
「言っとくけど、あんま追いすぎると、相手逃げんぞ?」
男はそういう生き物だから、なんてよく分からないことを言っている。
「べっ別に、追いかけてないよ!むしろ追われてる方だし?
今だって、三浦さんに今度の日曜会える?って言われてて」
その返信をどうしたらいいか…友梨と小夏に、ラインで相談してたわけだけど。
「へぇ」
田中がコップに注いだミネラルウォーターを飲みながら、微かに目を見開いた。
「ほんとにうまくいってんだ?」
「まぁ…ね!
これならホントに彼氏できちゃう日も、近いかもねー!」
ハッハッハと高笑いしてみせると、哀れむような視線で見られた。
「…ま、がんばれよ」
そして力ない応援を残して、自分の部屋へ引き返していく。
その時、ちょうど友梨から返信。
【Yes!しかないでしょー!】
…だよねぇ。