田中のくせに!!





「………」


「………」




それから、なんとなく沈黙になってしまって。




カチ、カチ、カチ…




時計の秒針の音だけがただ、リビングに響いている。




…な、なんか気まずい…




今までなら、こんな沈黙なんて、どうってことなかったはず。



ただ喋りたい時に喋って、同じ空間にいても、それぞれ別のことをしていたり…



…こんなに沈黙が緊張して感じるのはたぶん…あたしが、田中と一緒にいるってことを…すごく、意識してるからだ。

すごくすごく、意識してるからだ。





「…あっ!あのさぁ」


「…ん?」




田中がチラリと、一瞬だけミネストローネからあたしに視線をうつす。



「あの…う、噂で聞いたんだけど。
岩槻くんが、彼女にフられたって…」



「…あぁ…」




田中の顔がほんの少しだけ、歪んだ。




「…そーなんだよ。

他に好きな奴ができたって、キッパリ…」



「えー!そんな…ひどい」




あんなに、愛されてたのに。




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