田中のくせに!!
「…でも、相当落ち込んでる、岩槻の奴。
フられたのも人生初だって言ってたし」
「うん…あんな暗い岩槻くん初めて見たよ」
いつもはもっとキラキラで、ニコニコしてて…
「…慰めてやれば?」
ふっと顔をあげた田中が、意地悪そうにそう言った。
「は?」
「周防、いつも岩槻のことカッコイイー♡って言ってるじゃん」
「そ、そうだけど…」
「あいつモテるし、こんなチャンスめったにないぞ?」
…これは、岩槻くんを狙えって言ってるの?
「小夏も同じこと言ってた」
「だろ?」
「…でも、あたしは別に、岩槻くんのこと好きってわけじゃ」
もちろん、友達としては好きだけど。
相変わらずイケメンだとも思うけど。
「憧れ、っていうか…」
「…ふーん。
でもさ、わかんねーよ?
意識して見てるうちに、好きになることもあるかもしれないし」
食べる手を止めたまま、そんなことを力説してくる田中。
…なんなの?田中は、あたしに岩槻くんのこと、そんなに好きになって欲しいの?
……なんかムカムカしてきた。