田中のくせに!!
「よしっ!とりあえずもっかい話しかけてみよ!」
鏡の前で気合をいれて、トイレを出ると。
「…田中!?」
「…おう」
壁にもたれかかるようにして、田中が立っていた。
「…ど、どうしたの?田中もトイレ?」
しかしあたしの質問には答えず、ジロジロとあたしの全身を眺める田中。
「…ちょっと、なに!?」
視線に耐えきれず一歩下がると
「…おまえ、今日ずっとそのカッコでいる気?」
「…え…」
…や、やっぱりあたしのカッコが気にくわなかったんだ!メイクとかしてるから!!
「……だ、ダメ……?」
田中を見上げるようにして、恐る恐るそう聞くと。
グッと田中の眉間に皺がよった。
ひっ!やっぱ怒ってる!!
「…あの、たな「別に」
クルッと背中を向け、スタスタ歩いていく田中。
え、ていうかトイレじゃなかったの!?
「ちょっ待って!田中っ…」
慌てて追いかけようと足を踏み出した瞬間
すぐ近くに段差があったのに気付かず、
「…わっ」
倒れるっ…と思った瞬間
グイッと腕を引っ張られた。