田中のくせに!!
「…フワフワしてんなよ」
「…ご、ごめん……」
すぐ近くに、田中の顔がある。
それを認識した瞬間、顔がボッと熱くなった。
…やばい、今絶対顔赤い!
…水族館の照明が少し暗いのが、唯一の救いだ…
「…周防」
「は、はいっ!!」
田中に呼ばれて、俯いていた顔をあげると
田中が険しい顔であたしを見ていた。
なっなに!?まさかお説教!?
「おまえ、今日俺から離れんなよ」
「……は?」
つい「調子のんなよ周防のくせに」的なことを言われると思っていたので、喉の奥から間抜けな声が出る。
「…な、なに…」
「いいから、はなれんな」
そしてあっさりあたしの手をはなすと、再び歩いていってしまう田中。
だけど、ボンヤリしているあたしに気付いて、すぐに振り向くと
「…はやく来いって」
「…う、うん…!」
…なんだかよく分からないけど
「はなれるな」って言ってくれたことが
…すごく嬉しい。
緩む頬をおさえながら、田中と並んでみんなのところまで歩いた。