田中のくせに!!
それからフルーツランド、森のガラス館、とまわって。
夕方、ホテルに戻った。
「今日はありがとねー」
と人のいい笑みを残して、山里さんがタクシーで走り去って行く。
いい人だったなー。
「あー、楽しかったね、今日は!」
ホテルのエントランスに向かいながら、友梨が満足気にそう言う。
「明日の夜の自由行動も、このメンバーでまわろっかぁ♪」
「ええっ」
みんなが賛成、の声をあげる前に思わず狼狽えたあたし。
だ、だってそれはつまり、明日の夜も田中と一緒ということで。
「なんでよ、いいでしょー」
友梨があたしの肩に手をまわして、耳元でコソッと囁く。
「田中と一緒にいたいでしょ?」
「…そ、れは、まぁ……でっ、でも友梨、小野くんは!?」
「そんなのはいいの!」
友梨の語尾が強くなる。
「小野くんとはいつでも一緒にいられるし♪友達の幸せの方があたしは大事」
「ゆ、友梨…」
思わず泣きそうになった。
「よしっ、じゃぁそーいうことで!
けってーいっ♪」
まぁ、ただ単に楽しんでるだけのような気もするけど……