田中のくせに!!
「………そ、そっか………」
「おう」
田中の言葉ひとつで、じんわり、心があたたかくなっていく。
…つまりそれって
今、隣を歩いてくれてるってことは
あたしといることが嫌じゃないって
そう思っていいんだよね…?
俯いたまま、思わず頬を緩めると
「…おまえ…」
「ん?」
田中があたしを見下ろす気配。
ふっと顔をあげると、バチッと視線がぶつかった。
「…なんでもね」
しかしすぐに顔を逸らして、前を向いてしまう田中。
「え、なに?気になるじゃん」
「…だからなんでもねーって」
「何それー」
「………俺も安心だって思っただけだよ」
「は?」
「っだから何でもねーよ!」
なぜかちょっと怒ってる田中。
「短気は損気だよー!!」
「…えっらそうに。調子のんなよ」
「痛っ」
田中があたしの頭の軽く小突く。
「田中のバカ!」
「はぁ?」
調子にものるっつーの。
だって、田中と二人で国際通り歩けるなんて
…めちゃくちゃ嬉しいに決まってるじゃん。
いつもより少しだけ近い距離で、ふたり並んで歩いた。