田中のくせに!!
ドキン、と大きく心臓が揺れて。
カッと顔が熱くなって
…わけもなく泣きそうになる。
「…ん。ありがと」
なんだか顔を見られたくなくて
コツン、とおでこを田中の肩にぶつけた。
田中の体が一瞬ビクッと強張って
…頭の上から、呆れたようなため息が降っくる。
「…だから今、危機感持てって言ったのに」
「…持ってるよ」
「持ってねーよ。こういうのは」
言いながら、ポンッとあたしの頭にのっかる、大きな手。
「好きな奴にしろって…」
「…うん」
だから、今してるって。
こんなあたしの気持ちに、気付いて欲しいような、気付いて欲しくないような。
……でも、今は
今はまだ、ただの同居人でいいから。だから
「…ありがとう」
大好きのかわりに。
「…ん」
…隣の君へ
届きますように。