田中のくせに!!
「頼むよ~。ミキに家追い出されちゃっ「無理」
旭さんの言葉を最後まで聞かずに、きっぱりそう言い放つ田中。
「えー!何でだよ!?」
「何でも何もあるかよ!
ミキさんに謝って早く家入れてもらえ。
どうせいつもの浮気騒動だろ?」
「そうなんだよ~!
俺は断じて違うって言ってんのに、ミキが~!」
そう言いながら田中に縋り付く旭さんは、なんだか泣きそう。
どうやら旭さんは、ミキさんって人と同棲してるみたい。
「とにかくここには泊めない。他あたれ」
「なんでだよ~!こんなに兄貴が頼んでんのに、聞くだろフツー!」
「だから無理だって!
ここに住んでんのは俺だけじゃないし…」
「…え」
旭さんがクルッと振り向いてあたしを見た。
そして再び田中に向き直ると
「心配すんなってー!」
ガハハと笑いながら、田中の背中をバーンッ!と叩く。
い、痛そう。
「誰も弟の彼女取ったりしねーから!」
えっ…かか、彼女…!!
「だから彼女じゃねーよ!!」
眉をひそめて、肩に置かれていた旭さんの手を振り払う田中。
…そんな、不機嫌そうな顔しなくたって……