田中のくせに!!
「まさか、びっくりだったね。イケメン店員の正体が岩槻くんだったなんて!」
女性客の視線を一身に集めながら、キラキラ笑顔で接客している岩槻くん。
混み合っている店内でラーメンを運んだりレジをしたりすごく忙しそうだけど、まったく疲れを感じさせず、爽やかだ。
「アイツいっつも自分のこと何も話さねーんだよな」
田中は少し不機嫌そう。
「まぁまぁ、そんなショック受けないでよ。岩槻くんが何も教えてくれなくて寂しかったのは分かるけどさー」
「別に寂しくなんかねーよっ!」
「強がんなよ☆」
「おまえ…うざ」
田中の氷点下の視線が容赦無く突き刺さったとき
ガッシャーン!!!
店内に、勢いよく何かを落としたような音が響いた。