田中のくせに!!
「…え?」
瞬間、岩槻くんの顔からスッと笑みが消えた。
「べ、別に告白断ったことに対してどうこうとかじゃなくて…仕方ないこともあるし。
でも、あからさまに態度に出して冷たくするなんて、岩槻くんらしくないから」
「…沖野さんに会ったの?」
「…昨日、偶然ね。
落ち込んでたよ。
バイトでも普通に話せなくなっちゃって、悩んでた」
「…ふーん…」
興味なさそうにそんな返事をする岩槻くんは、窓の外を眺めたまま。
「ふーんって…
岩槻くん冷たい」
「じゃぁどうしろって?
ふったのに、変に優しくするほうがよっぽど残酷だろ?」
「…それは…そうかも、しれないけど」
…なんだか、岩槻くんじゃないみたい。
すごく冷たい目、してる…。
「でも、莉恩ちゃんはきっと、物凄い勇気出して告白したんだよ?それなのに」
「今は無理なんだよ」
あたしの言葉を遮るようにして、吐き捨てるようにそう言った岩槻くん。
「え…?」
今は無理って、
どういう意味?
「…とにかく。
周防には関係ないことだから」
「あっ…岩槻くん!」
岩槻くんはあたしの言葉に振り向くこともなく、早足で教室に戻っていってしまった。