田中のくせに!!
「岩槻くんて
ほんっとカッコイよねぇ…♡」
「…ふーん」
目の前でビーフシチューを口に運ぶ田中は、心底興味なさそうに相槌をうつ。
「ちょっと!」
ドンッと軽く机を叩いた。
「なんだよ」
「もっと興味もってよ!!」
「だって興味ねーもん」
そしてビーフシチューをもう一口。
「うん、うまい」
「…せっかくあたしが岩槻くんの話をしてるのに…」
「だから興味ねーよ、岩槻がかっこいいとかもう知ってるし」
麦茶の入ったポットを手に取る田中。
コポコポと、心地良い音をたてて麦茶が注がれていく。
……田中って、まさか……
「…言っとくけどそういうんじゃないからな」
あたしの疑惑の視線に気づいた田中が、ゲンナリした顔でそう言った。
「じゃぁ田中、好きな子いるの?」
そういえば田中の恋バナとか聞いたことない。
「はぁ?」
田中は麦茶を一口飲むと思いきり顔を歪めた。
「ほんと好きだよなー、女ってそういう話」
「いいから教えてよ」
まぁそこまで気になんないけど。