田中のくせに！！

「…おまえ、さっきも岩槻に声かけようとしてたろ？」



グスグス涙を拭っていると、隣から田中のそんな声が聞こえた。




「うん…見てたの？」


「見えた。
ほんとお節介」


「うるさいなー…」



「周防、すごい気にしてたよなぁ。
岩槻のこと」



「当たり前じゃん！
友達だし！」




あんなに辛そうな岩槻くんの顔見たら

放っておけないし。





「…そんだけ？」




「え？」





顔をあげると、



バチッと視線がぶつかって。





「…って、何聞いてんだろ俺」




すぐに気まずそうに逸らされた。





「…田中？」



「…帰るわ。じゃーな」



「え？ちょっと待ってよ！」




慌てて追いかけて、隣に並ぶ。