田中のくせに!!
「おー、ただいま。
どうした?なんか慌ててるけど」
ガチャッと後ろ手で鍵を閉めながら、田中が不思議そうにあたしを見る。
「え?そ、そう?
おかえり。遅かったね」
「あー…マックで、色々話してた。
その後アイツ家まで送ってて」
「そ…そっか」
アイツっていうのはもちろん、花凛ちゃんのことだよね…。
「だ、大丈夫だった?花凛ちゃん」
「んー…」
リビングに向かって歩きながら、曖昧に言葉を濁す田中。
…あんまり話したくないのかな……
そうだよね、
あたし花凛ちゃんのことよく知らないし…部外者だもん。
「て、てかさ!オムライス作ったんだ〜!ど?結構うまくできたでしょ!?」
話題を逸らそうと、田中の前に回り込み、大袈裟にオムライスをアピールしてみせた。
「おー…周防作れたのか」
「前も作ったじゃん!!」
コイツ、すっかり忘れてるな!?
「今あっためなおすね!」
オムライスを持ち上げて、電子レンジを開ける。
でも
「あー…、ごめん。後で食べるわ」
制服のネクタイを緩めながら、申し訳なさそうに田中が言った。