田中のくせに!!
画面を見た田中の顔から、スッと笑みがひく。
その真剣な表情に、なんだか胸がザワついた。
…もしかして…
「…もしもし」
ソファから立ち上がり、あたしに背を向けるようにして電話に出る田中。
「…うん、え?何言ってんだよ……うん、わかった。すぐ行くから」
え…もう行っちゃうの?
「電話…花凛ちゃん?」
通話を終えた田中に聞くと、田中は真剣な表情のまま、頷いた。
「…うん…そう。俺、もう行くわ」
そしてソファの上に置いてあったカバンを持つ。
「戸締りよろしくな」
「あー、うん。了解」
バタン、と扉の向こうに、田中の姿が消える。
今日、もしかして二人は、一緒に登校するのかな…。