田中のくせに!!
「なー、あれって隣のクラスの、世川花凛だよな?」
すると近くにいた男子の、そんな声が聞こえた。
慌てて顔をあげると、廊下で話している、花凛ちゃんと…田中がいた。
「やっぱ可愛いよな~」
「諦めろよ。彼氏いるし」
「あぁ、楢崎だろ?でも俺別れたって聞いたけど」
「え、マジ!?」
「おー、なんかすっげー喧嘩してるの、松田が見たって」
「マジか~、じゃもしかして俺らにもチャンスある!?」
その後も、なんだか二人は花凛ちゃんの話で盛り上がっていたけど
あたしの耳には全く、何も入ってこなかった。
『別れた』って単語だけが、頭の中をグルグル回る。
廊下で話している二人は、とっても仲良さそうで。
…もう、ダメじゃん……。