田中のくせに!!
「でー、あの可愛い子は誰?」
中庭を見下ろす瀬名晴人。
「…世川花凛ちゃん。同じクラスでしょ?」
いくら転入してきたばかりといっても、顔も覚えてないってどうなの?
「へぇ、そうなんだ〜!俺あんま興味ない子覚えられないんだよね〜」
「あっそ…」
ため息をついて中庭に視線を下ろすと、田中がコツンッとちょうど、花凛ちゃんの額を小突いたところだった。
なんだか楽しそうに笑ってる。
「あの2人、仲良いんだぁ?」
ニヤニヤしながらあたしを見る瀬名晴人。
「…諦めろって言いたいの?」
「そうだよ」
あまりにハッキリ言われて、う、と思わず言葉に詰まる。