田中のくせに!!
「…瀬名くん」
花凛ちゃんが驚いたように目を見張った。
そしてその隣には…
「田中クンも、偶然だね~」
同じように驚いている様子の田中。
…あたしも、びっくりだ。
まさかこんな所で二人に会うなんて。
花凛ちゃんとバチッと視線が絡み合う。
すぐにニコッと笑顔を作った花凛ちゃんが、軽く会釈してきた。
…かわいい。
あたしも会釈を返しながら、そんなことを思う。
いつもストレートのこげ茶色のセミロングは、今日は軽く巻かれて。
ふわふわしてる。
パッチリした瞳が、笑うと綺麗な曲線を描いて。
「瀬名くん、彼女いたんだ?」
あたしから視線を逸らした花凛ちゃんが、今度は瀬名晴人に話しかけた。
「え~?違うよぉ、まだ!!」
そんな適当なことを言って、瀬名晴人があたしの肩に腕をまわす。
「はぁ?まだって何?意味わかんない」
奴の腕から逃れながら言うと、…なんだか物凄い視線を感じた。