田中のくせに!!




ホッと息を吐いたあたしに追いついた瀬名晴人が、苦笑いしながら言う。




「まどかちゃんさ、言わないの?田中クンに、自分の気持ち」




「…なんで?」




「なんでって。
…まどかちゃん、辛そうな顔してるから。
言ったら変わることも、あるかもしれねーじゃん」




「……」





言ったら変わること。




…でも、田中の気持ちが他の人にあるのを知っているのに



それがいい方向に変わるなんて、到底思えなくて。





…もしあたしが言ってしまったら




もう二度と元には戻れなくなりそうで






「もう帰る」




「あ、じゃぁ送っ「いいよあたしの家このすぐ近所だから!じゃぁね!!」





瀬名晴人の方をチラリとも見ないで駆け出した。




< 384 / 467 >

この作品をシェア

pagetop