田中のくせに!!
…あたしは自身の人生史上、最高に緊張していた。
花凛ちゃんに連れられてやってきたのは、中庭のベンチ。
お話って…なに!?
そのことばかりが頭の中をグルグルまわる。
花凛ちゃんと直接言葉を交わしたことはない。
昨日だって会釈だけだったし…
「…座れば?」
突っ立ったままのあたしを見て、ベンチに座った花凛ちゃんがクスッと笑った。
「…ハイ」
おずおずと隣に腰掛けると、女の子っぽいいい匂いがした。
「ごめんね、時間大丈夫だった?」
「…ハイ」
人ひとり分あけて、隣に座る花凛ちゃんは文句なしに可愛い。
…彼女が、楢崎くんの恋人で
そして田中の、好きな人。