田中のくせに!!
「ちょっ…と…田中!!」
「…なんだよ、うるせーな」
何度目かの呼びかけで、ようやく田中が振り向いた。…物凄く面倒くさそうに。
「なんで同居のことバラしたの!?」
最初に秘密にしようって言ったのは田中だったはず…。
しかも、よりによってあんなチャラ男にバラすなんて…
言いふらされたりしたらどうするの!?
「…別にいいじゃん」
だけど田中は、シレッとそう簡単に言い放つ。
「別にいいじゃん!?」
「おー。だって事実だろ?」
そしてあたしの手首をつかむ手に力をこめると、再びあたしに背を向け、廊下を歩き出した。
「…なー、周防」
「…うん?」
…田中の背中って
こんなに広かったっけ…
「…俺はお前が大事だよ」
「………」
「…だから、ほっとけねーの」
「………」
「…なー、だから
心配かけんなよ?」