田中のくせに!!
あたしの作った肉じゃがは意外にも好評で。
田中もあたしを見直していた。
夕食を終え、お風呂に入った後、
自分の部屋で少しずつ荷物をまとめる。
ここで暮らしたのはそんなに長い期間じゃなかったけど、いつの間にかたくさんの物で溢れていた。
「あれ、これ田中のだ」
床に落ちていたのは田中のシャーペン。
リビングから間違えて持ってきちゃったのかもしれない。
「田中~、入るよ?」
「お~」
コンコン、とノックして田中の部屋のドアを開けると、田中はベッドに座って雑誌を読んでいた。
「これ田中のだよね?
間違えて持ってきちゃった」
「あー、ありがと」
シャーペンを受け取り、また雑誌に目を戻す田中。
ふ、と何気なく本棚を見ると、目についた一冊の本。
「わ、これ中学の卒業文集!?みたーい!」
「あっ、おい」
慌てる田中を無視して、本棚からそれを抜き取ると床に腰をおろした。