田中のくせに!!
ドキドキと、心臓が口から飛び出そうになっているあたしになんて気付かずに
グニグニと人の頬をつまんで楽しんでる田中。
「プッ、変な顔」
コイツ…
楽しそうに笑っちゃって。
でも、そんな田中の笑顔一つで、どうしようもなくドキッとしてしまうあたしは結構重症。
ジロッと睨んでやると、スッと真顔に戻った田中の手から力が抜ける。
でも、すぐに離れると思った田中の手はあたしに触れたままで。
「…た、田中…?」
親指が、あたしの涙袋の下あたりを撫でる。
まるで慈しむみたいに、そっと…
田中の瞳に、されるがままのあたしの姿が確認できるくらい、いつの間にか距離が近づいていて。
…その瞳がふっと伏せられたとき
ピリリリリッ…
けたたましくあたしのケータイが鳴った。