田中のくせに!!
キーンコーンカーンコーン…
「はい、じゃーこれでHRを終わります。気をつけて帰るよーに」
担任の言葉が終わるやいなや、一斉に騒がしくなる教室。
そんな喧噪の中、あたしはギュッと手に持ったカバンを握りしめる。
き、来てしまった。放課後…
田中にあんなことを言われた昼休みから、ずっとドコドコ言いっぱなしの心臓。
いや、でもさ?ちょっと待って?
思わず、田中に一緒に帰ろうって誘われた!?なんて舞い上がってたあたしだけど。
よく考えてみたら…“一緒に帰る”って言われただけで、“帰ろう”なんて誘われてない。
一言も“あたしと”なんて言ってない。
もしかしたら、岩槻くんとか…花凛ちゃんと一緒に帰るからって事だったのかも。
いや!でも、そんなことわざわざ報告してくる!?
ということは、あのセリフはやっぱりあたしと…
いや!待って、早まるのはまだ早いわまどか。
もしかしたら花凛ちゃんと一緒に帰るから、今日遅くなる…とか…
「…なに頭抱えてるの?」
「え」
顔をあげると、不審そうにあたしを見下ろす小夏と友梨。
「いや…ちょっと…」
「ちょっとって?
ていうか、今日久しぶりにパーッとカラオケでもいかない?」
そんな小夏の誘いに、「う、」と思わず言葉に詰まったその時
「おい」