田中のくせに!!
「………」
「………」
座ったはいいけど、田中はそれきり何も話そうとしないし。
ただ、沈黙の時間がだけが気まずく過ぎていく。
「…あ、あの…」
…ダメだ。もう耐えられない、この空気!
「あたしやっぱり、学校戻っ「待てって」
立ち上がったあたしの腕を、焦ったように田中がつかんだ。
「…逃げんなよ」
「…別に、逃げてなんか」
「逃げてんだろ、ずっと」
田中の腕をつかむ手に力がこもる。
「言い逃げすんな。俺の話も聞けよ…」
…そんな田中の声が、なんだかやけに、切ない。
「……わかった。聞くから、手…はなして」
顔をあげないままそう言うと、はっとしたように手をはなした田中が、バツの悪そうな顔でソファに座った。
「…アイツら、のことだけど」
そしてゆっくり、話し始める。
「一回、距離置くってさ」
「…そ、っか」
アイツらっていうのはもちろん…花凛ちゃんと楢崎くんのこと、だよね。