田中のくせに!!
「いただきます」
二人して手を合わせて、声も合わせて。
「うんっおいしい!」
「…まぁカレーだしな」
田中が作ったカレーはすごくおいしかった。
…ていうか今更ながら。
こうやって田中の手料理を、田中の家で二人して食べてる不思議。
ついさっきまで、ただ同じクラスってだけの、何の接点もない男子だったのに。
…これから、田中と住むのかぁ……
「…お前さ」
「ん?」
突然、田中がカレーを食べる手を止めて話しかけてきた。
「よく承諾したよな、同じ年の男と住むなんて」
「えー…まぁ、うちの親に基本、あたし逆らえないから」
昨日の夜、突然お母さんに言われた。
「明日から、パパとママは世界旅行に行ってきまーす♪ちなみにいつ帰ってくるかは未定でーす♡」
「はぁ!?」
うちの親は昔っからぶっ飛んでいて。
子供のあたしはいつも振り回されてばっかり。
「…田中こそ、よく承諾したね?うるせぇ女との同居生活」
若干、さっき言われたことを根に持ってるあたし。
確かに友達にもよく「うるさい!」って言われるけどさ。
「まー…俺もあんま親に逆らえないから。
つーか止めらんねーから…」
「…なるほど」
もしかして田中の親も、うちの両親と似たタイプなのかな。
まぁ…うちのお母さんと親友なんだもんね。
十分ありえる話だ。