田中のくせに!!





「…へぇ。
意外と女子っぽいもの作るじゃん」



「ふんっ!あたしだってやれば出来るんだからね!」



作ったのはオムライス。


今日はオムライス食べたい気分だったし、卵いっぱいあったから。




「はいっこっちが田中!」




あたしはケチャップで大きく“田中”と書いたオムライスを差し出した。




「…何これ」


「何これって、オムライスっていったら、ケチャップで名前書くのが定番でしょー?」


「……こんなデカデカと書かなくてもよくね?」


「わかりやすいでしょ?」



オムライスを見つめたまま、なんだか渋い顔してる田中。



「…なんか、持ち物に名前書かれてる感じ…」



「えー?いいから、早く食べようよ」




なんだか納得してない顔の田中を放置して、あたしは「いただきまーす」と手を合わせた。





「うーん!おいしい!」



自分で言うのもなんだけど、大成功だー!



「どう!?田中どう!?」


「どうって…まだ食べてねーよ」


「早く食べてよ!ほらっ!」


「わかったって…」



そして急かされるまま、スプーンを口に運ぶ。





「…うん。
まぁ、いいんじゃね?」


「でっしょー!?

あたしのこと見直したでしょ、田中」


「…うーん、ちょっとな」


「ちょっとって!
まぁ、いっか」



まぁー田中はいつも料理してるしね。上手だし。


いつか田中も「おいしい!ビューティホー!ワンダホー!」なんて絶賛するくらいの料理を作ってやるー!



なんて、頭の中で闘志を燃やしながら、もう一口、オムライスを口に運ぶ。




「んー!やっぱおいしー!あたし天才!」



「…プッ」




そんなあたしを見て、田中が小さく噴き出した。





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