田中のくせに!!
「カワイイ子?田中だって普通じゃん」
「だってブスよりは、カワイイ子の方がいいだろ?」
「言っとくけどねー…そんな女子選り好みできるほど、田中イケメンじゃないからね?」
岩槻くんならまだしも!
「おまえ、バカだなー」
すると田中は、やれやれ、と呆れた視線を向けてきた。
「俺が言ってるのは別に、外見だけじゃなくて。
カワイイって色々あんだろ?」
「色々…?たとえば?」
「たとえば」
田中がフッと視線を上にあげて。
「あ、ゴキブリ」
「えっどこどこ!?」
あたしは慌てて履いていたスリッパを脱いで、立ち上がった。
そしてスリッパ片手に必死にその姿を探すけど
「いないじゃん」
振り向くと、肩を震わせて笑っている田中。
「え、何!?なんで笑ってんの?
ゴキブリいなくなっちゃったよ?
早く成敗しないと…」
「そーいうとこだよ」
田中は口元に手を当てたまま、あたしを見た。
「普通のカワイイ女子は、キャーッとか言って男に助け求めてくんの。
スリッパ持って成敗しにいかねーの」
…もしかして田中
「ダマした!?」
「ダマされる方が悪い」
なにー!?